QRコードとは
QRコード(Quick Response Code)は、1994年に日本のデンソーウェーブ社によって開発された二次元バーコードの一種です。その名前は「素早い反応」を意味し、スキャンするだけで情報を素早く取得できることから名付けられました。
QRコードは、黒と白の四角形のパターンで構成され、様々な種類のデータをエンコードすることができます。最も一般的な用途は、ウェブサイトのURLをエンコードし、スマートフォンのカメラでスキャンすることで直接そのウェブサイトにアクセスできるようにすることです。
QRコードはその高いストレージ容量と、ダメージや汚れに対する高い耐性から、広告、マーケティング、製品追跡など、さまざまな産業で広く利用されています。また、QRコードは無料で生成でき、特別なスキャナーがなくてもスマートフォンのカメラで読み取ることができるため、非常に便利です。これらの特性により、QRコードは世界中で広く普及しています。
JavaScriptでのQRコード読み取りの基本
JavaScriptを使用してQRコードを読み取るための基本的なステップは以下の通りです:
-
カメラへのアクセス: QRコードを読み取るためには、まずユーザーのデバイスのカメラにアクセスする必要があります。これは、Web APIの
navigator.mediaDevices.getUserMedia
メソッドを使用して行うことができます。 -
ビデオストリームの取得: カメラからのビデオストリームを取得し、HTMLの
<video>
要素に表示します。 -
QRコードのスキャン: ビデオストリームからフレームをキャプチャし、QRコードをスキャンします。これは、JavaScriptのライブラリ(例えば、
jsQR
やZXing-js
など)を使用して行うことができます。 -
データの解析: スキャンしたQRコードからデータを解析します。QRコードは通常、テキストデータ(例えば、URL)をエンコードしています。
これらのステップは、ブラウザでQRコードを読み取るための基本的なフローを示しています。しかし、具体的な実装は、使用するライブラリやフレームワーク、および具体的な要件により異なる場合があります。次のセクションでは、具体的なライブラリを使用したQRコード読み取りの実装について詳しく説明します。
ブラウザでのQRコード読み取りの実装
ブラウザでQRコードを読み取るための実装は、以下のステップで行います:
- HTMLとCSSの準備:
<video>
要素を作成し、カメラからのビデオストリームを表示します。また、QRコードが読み取られたときに結果を表示するための要素も作成します。
<video id="preview"></video>
<p id="result"></p>
- カメラへのアクセスとビデオストリームの取得:
navigator.mediaDevices.getUserMedia
メソッドを使用してカメラにアクセスし、取得したビデオストリームを<video>
要素に表示します。
const video = document.getElementById('preview');
navigator.mediaDevices.getUserMedia({ video: { facingMode: 'environment' } })
.then(function(stream) {
video.srcObject = stream;
video.setAttribute('playsinline', true); // required to tell iOS safari we don't want fullscreen
video.play();
})
.catch(function(error) {
console.error('MediaDevices.getUserMedia() error:', error);
});
- QRコードのスキャン:
jsQR
ライブラリを使用して、ビデオストリームからフレームをキャプチャし、QRコードをスキャンします。
video.addEventListener('play', function() {
const canvas = document.createElement('canvas');
const context = canvas.getContext('2d');
const resultElem = document.getElementById('result');
// start scanning
setInterval(function() {
context.drawImage(video, 0, 0, canvas.width, canvas.height);
const imageData = context.getImageData(0, 0, canvas.width, canvas.height);
const code = jsQR(imageData.data, imageData.width, imageData.height);
if (code) {
resultElem.textContent = code.data;
}
}, 200);
});
以上のコードは、ブラウザでQRコードを読み取るための基本的な実装を示しています。ただし、実際のアプリケーションでは、エラーハンドリングやユーザーインターフェースの改善など、さらに多くの考慮事項があります。また、jsQR
以外にも、ZXing-js
など他のライブラリを使用することも可能です。次のセクションでは、これらのライブラリの使用方法について詳しく説明します。
jsQRライブラリの使用
jsQRは、JavaScriptで書かれたQRコード読み取りライブラリで、ブラウザやNode.jsの両方で動作します。以下に、ブラウザでjsQRを使用してQRコードを読み取る基本的な手順を示します:
- ライブラリのインポート: まず、jsQRライブラリをプロジェクトにインポートします。これは、
<script>
タグを使用してHTMLファイルに直接リンクするか、npmを使用してインストールし、import
ステートメントを使用してインポートすることができます。
<script src="https://unpkg.com/jsqr"></script>
または
npm install jsqr
import jsQR from "jsqr";
- ビデオフレームの取得: ビデオストリームからフレームをキャプチャし、それをImageDataオブジェクトとして取得します。これは、Canvas APIを使用して行うことができます。
const canvas = document.createElement('canvas');
const context = canvas.getContext('2d');
context.drawImage(video, 0, 0, canvas.width, canvas.height);
const imageData = context.getImageData(0, 0, canvas.width, canvas.height);
- QRコードのスキャン: jsQR関数を呼び出し、ImageDataオブジェクトを渡します。この関数は、QRコードが見つかった場合にそのデータを返し、見つからなかった場合にはnullを返します。
const code = jsQR(imageData.data, imageData.width, imageData.height);
if (code) {
console.log("Found QR code", code.data);
}
以上のコードは、jsQRライブラリを使用してブラウザでQRコードを読み取る基本的な方法を示しています。ただし、実際のアプリケーションでは、エラーハンドリングやユーザーインターフェースの改善など、さらに多くの考慮事項があります。また、jsQRは他のQRコード読み取りライブラリと比較して、その簡単なAPIと高い精度で広く使用されています。しかし、特定の要件によっては、他のライブラリ(例えば、ZXing-jsなど)が適している場合もあります。次のセクションでは、これらのライブラリの使用方法について詳しく説明します。
ZXing-jsライブラリの使用
ZXing-jsは、JavaScriptで書かれた別のQRコード読み取りライブラリで、ブラウザとNode.jsの両方で動作します。以下に、ブラウザでZXing-jsを使用してQRコードを読み取る基本的な手順を示します:
- ライブラリのインポート: まず、ZXing-jsライブラリをプロジェクトにインポートします。これは、
<script>
タグを使用してHTMLファイルに直接リンクするか、npmを使用してインストールし、import
ステートメントを使用してインポートすることができます。
<script src="https://unpkg.com/@zxing/library"></script>
または
npm install @zxing/library
import * as ZXing from '@zxing/library';
- ビデオフレームの取得: ビデオストリームからフレームをキャプチャし、それをImageDataオブジェクトとして取得します。これは、Canvas APIを使用して行うことができます。
const canvas = document.createElement('canvas');
const context = canvas.getContext('2d');
context.drawImage(video, 0, 0, canvas.width, canvas.height);
const imageData = context.getImageData(0, 0, canvas.width, canvas.height);
- QRコードのスキャン: ZXingの
BrowserQRCodeReader
クラスを使用して、ビデオストリームからQRコードをスキャンします。
const codeReader = new ZXing.BrowserQRCodeReader();
codeReader.decodeFromImage(undefined, canvas.toDataURL())
.then(result => {
console.log(result.text);
})
.catch(err => console.error(err));
以上のコードは、ZXing-jsライブラリを使用してブラウザでQRコードを読み取る基本的な方法を示しています。ただし、実際のアプリケーションでは、エラーハンドリングやユーザーインターフェースの改善など、さらに多くの考慮事項があります。また、ZXing-jsは他のQRコード読み取りライブラリと比較して、その高い精度と多機能性で広く使用されています。しかし、特定の要件によっては、他のライブラリ(例えば、jsQRなど)が適している場合もあります。次のセクションでは、これらのライブラリの使用方法について詳しく説明します。
QRコード読み取りのデモとサンプルコード
以下に、ブラウザでQRコードを読み取るための簡単なデモとサンプルコードを示します。この例では、前述のjsQR
ライブラリを使用しています。
まず、HTMLとCSSを準備します:
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<style>
#preview {
width: 100%;
height: auto;
}
</style>
</head>
<body>
<video id="preview"></video>
<p id="result"></p>
<script src="https://unpkg.com/jsqr"></script>
<script src="app.js"></script>
</body>
</html>
次に、JavaScriptのコードを準備します:
const video = document.getElementById('preview');
const canvas = document.createElement('canvas');
const context = canvas.getContext('2d');
const resultElem = document.getElementById('result');
navigator.mediaDevices.getUserMedia({ video: { facingMode: 'environment' } })
.then(function(stream) {
video.srcObject = stream;
video.setAttribute('playsinline', true); // required to tell iOS safari we don't want fullscreen
video.play();
scanQRCode();
})
.catch(function(error) {
console.error('MediaDevices.getUserMedia() error:', error);
});
function scanQRCode() {
if (video.readyState === video.HAVE_ENOUGH_DATA) {
canvas.height = video.videoHeight;
canvas.width = video.videoWidth;
context.drawImage(video, 0, 0, canvas.width, canvas.height);
const imageData = context.getImageData(0, 0, canvas.width, canvas.height);
const code = jsQR(imageData.data, imageData.width, imageData.height);
if (code) {
resultElem.textContent = code.data;
}
}
requestAnimationFrame(scanQRCode);
}
以上のコードは、ブラウザでQRコードを読み取るための基本的なデモとサンプルコードを示しています。ただし、実際のアプリケーションでは、エラーハンドリングやユーザーインターフェースの改善など、さらに多くの考慮事項があります。また、jsQR
以外にも、ZXing-js
など他のライブラリを使用することも可能です。これらのライブラリの使用方法については、それぞれのライブラリのドキュメンテーションを参照してください。このデモとサンプルコードが、あなたのプロジェクトに役立つことを願っています。次のセクションでは、これらのライブラリの使用方法について詳しく説明します。
まとめと次のステップ
この記事では、ブラウザでJavaScriptを使用してQRコードを読み取る方法について説明しました。まず、QRコードとその用途について説明し、次にJavaScriptでQRコードを読み取る基本的な手順を紹介しました。その後、具体的な実装について説明し、jsQR
とZXing-js
という2つの人気のあるライブラリの使用方法を示しました。
これらのライブラリは、それぞれが提供する機能と精度により、異なる要件に対して適した選択肢となります。jsQR
はその簡単なAPIと高い精度で広く使用されていますが、ZXing-js
はその多機能性で知られています。どちらのライブラリを選択するかは、あなたのプロジェクトの具体的な要件によります。
次のステップとしては、これらのライブラリを自分のプロジェクトに組み込んでみることをお勧めします。また、エラーハンドリングやユーザーインターフェースの改善など、さらに多くの考慮事項がありますので、それらについても考慮に入れてください。
最後に、この記事があなたのプロジェクトに役立つことを願っています。もし何か質問があれば、お気軽にお問い合わせください。幸運を祈ります!